初代「#3776」と「#3776 センチュリー」
初代モデルである「#3776」(ザ・万年筆#3776)は、1978年に発売された万年筆です。万年筆などのモノの収集家としても知られる作家・梅田晴夫氏を中心とした研究チームにより、サイズやバランスに拘った理想の万年筆を目指して設計され、平均して日に30枚は原稿を書く作家50名によるテストを経て登場しています。ちなみに"3776"はもちろん富士山の標高に由来。
デザインは滑り止めとして軸に施されたギャザー(連続するひだ)が独特な雰囲気で、近年は仕様を一部変更した復刻モデル「#3776 ギャザード」として販売されていました。(当記事作成時、カタログ落ち)
「#3776」にはその後、ギャザーのない様々なモデルが生まれますが、2011年に「#3776 センチュリー」として刷新。インクの乾燥を2年間も防ぐスリップシール機構や、インクフローが見直された新しいニブが搭載され、現在は同社を代表するシリーズとして多くのモデルが販売されています。
#3776 センチュリー " ディケイド "
「#3776 センチュリー " ディケイド "」はセンチュリーシリーズの発売から10周年を記念する限定モデルです。販売数は3776本となります。
目を引く特徴の一つは、初代をイメージしてギャザーを復活させた軸デザインです。ただし、このギャザーは初代のような広範囲のものではなく、胴軸下部とキャップ下部に留めているため、初代よりも保守的な面影を残しています。また、軸の下面(尾飾)にはシリアルナンバーの刻印が、キャップ上面(天飾)には10周年記念ロゴのプリントが入ります。寸法は全長139.5ミリ、最大径15.4ミリ。重量は20.4グラムです。
もう一つの特徴として、今回のモデルに合わせて10年ぶりにニブが新開発されています。初代のような(初代以上に?)直線的なフォルムで構成しつつ、現行のペン先をベースとしたしなやかな筆記感になっているそうです。同社によるペン先のたわみ量の検証結果によると、現行の「#3776 センチュリー」のFニブよりも柔らかく、SF(細軟)ニブよりも硬くなるようです。新型ペン先は14金で、今回のモデルでは10周年を示す刻印が入り、F、Mの筆記幅が用意されます。
また、製品の特典として、10周年を記念した特別調色のボトルインク「富士紺」(20ml)が付属します。これは光の反射によって赤みが見られる特殊インクで、"富士山の薄暗い濃紺の空が次第に赤みを帯びていく朝焼けの様子をイメージ"しているそう。
その他に、対応コンバーターとなる「800A」、ブルーブラックインクのカートリッジ1本が付属。スペシャルパッケージに収まります。
価格は40000円税別(44000円税込)。発売は2022年7月1日で、世界3776 本限定。。下記の[ディケイド特別ページ](PDF)に販売店のリストがありますが、掲載のない店舗でも販売があるようです(店舗ごとに要 問い合わせ)。
[ディケイド特別ページ(国内)(PDF)]
[プラチナ万年筆]